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Project概要

本領域の目的

マイコプラズマ細胞表面構造の模式図
図1マイコプラズマ細胞表面構造の模式図
(ピンク部分が運動超分子マシナリー)

“コンベンショナルなモータータンパク質”(以下、“モータータンパク質”という)、すなわち、ミオシン、キネシン、ダイニンについてはこれまでに多くの優れた研究が行われ、分子レベルの力発生メカニズムには一定の理解が得られるようになった。しかし生体運動の中には、細菌や原生生物の表面運動や遊泳運動などのように、“モータータンパク質”のみでは説明できないメカニズムが多数存在している。それらの動きは、運動超分子マシナリーとも言える高度に組織化された構造が内部の調和を保ちながら大きく動くことで生じ、その多様性には地球生命進化の歴史が刻まれている。本領域では、生体運動のメカニズムの中でこれまでにあまり理解の得られていないものを、最新の解析技術を駆使した原子レベルから超分子複合体レベルの研究により解明する。

本領域の内容

これまでそれぞれ全く別の分野で活躍していた運動超分子マシナリーの研究者が一堂に会し、微生物学、遺伝学、生化学、生物物理学、構造生物学などで用いられる技術をマルチスケールに用いて、研究を展開する。これまでにあまり注目されたことのない運動マシナリーを萌芽研究として育てる一方で、モータータンパク質研究エキスパートの本分野への参入を推進する。本分野の発展に不可欠な、サブナノメートルスケールで生体構造を可視化する3つの技術、すなわちクライオ電子線トモグラフィー、急速凍結レプリカ電子顕微鏡法、高速AFM(原子間力顕微鏡)の、本分野への応用技術を開発・支援する。 ”新奇の生体運動”という親しみやすさを前面に出すと同時に、新しいメディアを積極的に取り入れて、研究者と国民に対する啓発活動を有効に展開する。

期待される成果と意義

領域概観図
図2領域概観図

図2領域概観図様々な生体運動メカニズムの存在を具体的に示すことで、生体運動の発生とその進化に対する理解が飛躍的に進むことが期待される。また、多数の運動マシナリーを比較することで、モータータンパク質を含めた運動マシナリーの本質が理解できることが期待される。

キーワード

コンベンショナルなモータータンパク質:生体運動において力発生を担うタンパク質で、以前から知られている、ミオシン、キネシン、ダイニンを指す。これらは ATPを加水分解することでエネルギーを得て、アクチン繊維や微小管の上を滑るように動く。

研究期間と研究経費

平成24年度-平成28年度 1,162,600千円

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